父親がクロスのコベントリーを買ってくれた。店頭価格は3300円のコベントリー、所謂エントリーグレードだ。父親も嘗てクロスを使っており、色も同じメダリストだった様だ。
クロスといえば1846年創業の由緒あるブランドであり、オバマ元大統領も愛用しているアメリカの老舗である。ところで、購入価格の3000円というのは、学生である私にとっても決して目が飛び出るような額ではない。私が身の丈に合わないと感じたのは、それ以外の部分だ。
1.国産より癖がある使い心地を楽しむ余裕が無かった
先ず、純正状態では、結構字幅が太め。1.0mmというのは国際基準に則ったブランドなのだと感じさせられる。0.5や0.7mmに比べるとレポート用紙等では窮屈になる。
書き出しが掠れる。また、とめ、はね、はらい といった日本語を書く基本動作の際にも掠れる場合がある。筆圧を掛けたくなるが、そうすると太いボールペン特有の滑らかな書き心地の恩恵を受けられず、手が痛くなる。また、グリップが比較的滑りやすいので、そもそも強く握るのに向いていなさそうだ。
そして、これは「メダリスト」の様なカラーの個体が持つ問題だが、手のべたつきが見た目に直接反映されてしまう。鏡の如き映り込みがとにかく汚れをシビアに映し出す。
2.ランニングコストが高い(純正の芯では)
純正の芯はクロスの8513というもので、アマゾンではこの記事を書いた段階で、1本から買える状態の価格が615円だった(6本入りなら415円/本)。本体は安いローコスト版だが、消耗品の価格も安いわけでは無い。
一方、欧米のメーカーの多くは共通規格を採用しており、クロスには三菱のSK-8が対応する。こちらは1本ずつの価格で285円(5本入りで268円/本)。半額になったがそれでも高い。
ゼブラの製品の場合、0.7mm、SK型の油性ボールペンの替え芯では、筆記距離540m、文字数にして13500字だそうだ。直ぐに切れる訳では無いとは言え、寿命がそこまで長いとは思えない。
何せ、トンボに依れば、鉛筆の筆記距離はHBでは50kmにも達するそうだ。カッターで削り、補助軸で短くなっても使い続ければ、安価なノック式ボールペンよりも遥かに長く、安く書けるだろう。この距離を書くには一体クロスに幾ら課金しなければならないかと思うと貧乏学生の私は頭が痛くなる。
愚痴の様になってしまったが、このボールペンとは長く付き合っていきたい。回して芯を出すときの気持ち良さは高級筆記具の片鱗を感じさせてくれるし、何せクロス製品は機構部分には条件付きの永年保障付きだ。
修理又は新品交換のサービスをここまで太っ腹にやるブランドは余り無いと思う。是非壊れるまで使い続けたい。ここまでのサービスをしてくれる会社の製品だ。壊れる頃には自分も相応に年を取っているのではと考える。その頃にはもう少しこのボールペンが身の丈に合った大人になれていると良いのだが・・・。